Q17 危険の告知書・免責同意書の法的効果・効力は?
Q17 危険の告知書・免責同意書の法的効果・効力は?
スキューバダイビングをするときに、潜る前にいつも書かされる危険の告知書には、「PADIメンバー(インストラクター、ダイブマスター、ガイド等)に過失が存した場合においても、その賠償責任を問わな
いことを約束します」という文言があるのですがこれは有効なのでしょうか?
A17
無効です。
昔々、ダイビングの指導団体は、ダイビングの前には免責同意書なるものを書かせていました。しかしながら、消費者契約法の施行に伴い、免責同意書をやめ、危険の告知書に変更しました。なぜかというと、「事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項」(消費者契約法第8条第1項第1号)「消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項」(消費者契約法第8条第1項第3号)は「無効」とすると消費者契約法に定められたからです。
免責同意書では、何らの請求権を~とか、あらゆる損害賠償~とか、文言上明らかに責任の全部を免除する規定であったため、消費者契約法第8条により無効になってしまうのです。そこで、何らの~とか、あらゆる~とかの部分を削除し、消費者契約法第8条が適用されるかどうかを文言上不明確にした危険の告知書なるものが作成されました。
しかしながら、仮に消費者契約法第8条が適用されなかったとしても、民法上、公序良俗に反する合意は無効となります。そして、いくつもの裁判例が、身体及び生命に侵害が生じた場合にまで責任を免除することの合意は公序良俗に反し無効であるとしています。
通常、ダイビング事故において、事故ダイバーもしくはその遺族が、ガイドやインストラクター等に対して損害賠償請求する場合、身体・生命に侵害が生じた場合でしょうから、ご質問の文言を内容とする合意は公序良俗に反し無効になると考えられます。
ですから、安心して危険の告知書にサインしてダイビングをお楽しみ下さい!
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